先に発表された法人企業統計によれば、377兆円もの内部留保が企業に積まれているとのことです。企業がこの膨大な原資を再投資もせず配当もせず、何の活用もされないまま寝かしている資金だとみなされています。
そもそもなぜ内部留保が積みあがるのかといえば、全体的に言って企業の稼ぐ力が増しているから。この資金をなんとか動かそうと、賃金にもっと分配せよという声が某政党から必ず出てきますが、個別に見ればそもそも賃上げ余力に乏しい儲かっていない企業がたくさんあるので、現実的にはかなり難しい。
内部留保に課税せよという案も定期的に出てきます。内部留保はいうまでもなく企業段階で既に課税済みの利益で、これにまた課税するというと株主は怒りそうですが、税金なんてなんとでも理屈をつけて法令化できるのだから、目的さえ正しければ課税もひとつの選択肢です。国庫財源と位置付けるのではなく、あくまで経済政策として位置付ければ良いのです。
とにかく、お金を動かさなければ経済が潤わない。理想的には株主が配当を求めて、株主の段階でいろんなリスク案件に再投資すべきです。株主からの圧力が増せば、企業側の緊張が高まり、衰退分野での統廃合や成長分野でのリスク投資が加速するでしょう。株主の意識が残念ながらそこまで高くない現状では、企業側に考えさせることも意義ある手段だと感じます。