歴史好きな自閉症児の話

高校生になった自閉症の息子は、運動のみならず、学問においても不思議な能力を有しています。歴史が好きで、その方面の本をよく読む。テストでいい点を取るとかそういった目的はまったくなく、興味で勉強しているので、有名な出来事もそうでない出来事もあまねくよく知っています。

例えば、徳川の15代各将軍の名前を言えます。北条政子が亡くなった年を言えます。元寇で活躍した竹崎季長を知っています。

彼は、友人と初めて出会った日とか、家族で引っ越した日とか、なぜかきっちり覚えています。何を覚えていて何を忘れているのか、その基準はよくわからないが、彼の記憶力にはよく驚かされるのです。

だからといって、有名大学の歴史の入試問題を解かせたとしても、いい点は取りません。そんなもの興味ないし、そもそも取り組もうとしない。もし、彼をある方向に導くことができたら、凄い才能が引き出せるのかもしれませんが、確実に時間と根気を要することから、なかなか取り組めていません。

ときどき、自閉症のメカニズムの一部が解明といったようなニュースに触れますが、彼を見ている限り、いくつかの面で健常者と極めて異なる特徴を見せているというだけであって、その理由を解明する努力は、ある人がどうして数学が得意なのかという理由を見つける努力に等しいように思えます。人間の知能メカニズムの解明に等しく、今の科学では全く覚束ない。

彼を全体としてみれば、明らかに知恵遅れですが、知恵遅れだという色眼鏡を外してみたとしても、ある分野ではとんでもない才能を有している。とても面白い男です。

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