外資系企業における問題解決のプロセス

論理的思考を持っている方ほど問題解決のプロセスというものに興味がないかもしれません。特にプロセスを意識せずとも、妥当な解決策に辿りつくからです。しかし、一般人には簡単なことではありません。いくつもの問題を抱えるマネージャーにしてみれば、一般人でも妥当な解決策を導くことができる魔法のプロセスを組織に埋め込んでほしいと思うでしょう。ということで、問題解決のプロセス構築に対する需要は大変高い。

日本を代表する製造業の雄は、独自のプロセスを持っています。例えばこの本は、トヨタで開発された「A3ペーパー1枚という実務的なフォーマットを仕上げる」という問題解決のプロセスを紹介しています。

日本の製造業が製造現場を中国や東南アジアに移し、GAFAなど米国のIT企業が台頭してきている昨今、日本製造業の経営手法に光があたることはめっきり少なくなりました。しかし、そんな状況であっても、日本の製造業の経営手法を取り入れようとしている殊勝な外資系企業は少なくありません。私はむしろ外資系企業で日本製造業の良いところを学びました。そこで得た、問題解決のプロセスに係る知見の骨子を紹介します。

問題解決のプロセスを適用すべき「問題」

外資系企業でいう「問題」は、一般的に使われる定義と異なります。業務上の問題を対象にしますから、それは必ずチーム内で解決できなければなりません。逆に言えば、チーム内で解決できない問題は、「問題」解決のプロセスを適用する対象としません。加えて、「問題」は必ず数値で表さなければなりません。客観性がないと、成果を評価できないからです。 これらの点は、効率性を重視する外資系企業らしい考え方だと感じます。 要するに、「チーム内で解決可能で、成果が客観的に計測できる問題のみ解決に取り組め」ということです。それ以外は、解決可能なファンクションを巻き込むか、プロセスを走らせるまでもなくJDI(Just Do It)で対応するか、放っておくか、のいずれかです。

問題の定義付けに時間をかける

問題と言える現象が生じていたら、その現象が問題解決のプロセスで解決すべき問題として捉えるに適当かどうか、即ち、チーム内で解決可能な数値化できる現象であるかどうかを判断します。単にYes/Noではなく、Noであったら、問題を定義しなおして評価してみます。根本原因がわかっていないとチーム内で解決可能かどうか判断できませんから、この段階で根本原因は特定されています。自ずと、問題解決のプロセスで解決すべき問題が定義されるまで、時間をかけることになります。パレート分析、バリュー・ストリーム・マッピング、フィッシュ・ボーンなど、数々の分析ツールはこの段階で活躍します。

根本原因が特定された問題など、もはや問題ではないと感じる方は少なくないと思います。根本原因が掴めていれば、解決策は比較的容易に見つかるからです。結局、外資系企業で言われる問題解決のプロセスは、問題を定義するプロセスを含んでいて、そこが最も大事だと教えています。

アクションを潰して解決に至る

わざわざ、チーム内で解決できる問題を定義したのだから、当然チームでの解決が求められます。問題解決のプロセスの一部ではありますが、チームの働き方にも注文があって、関係者出席による短時間(15分程度)のミーティングを少なくとも週に一度行います。そもそも数値化できる問題を対象としていて、目標が数値で設定されているので、数値により問題解決が進んでいるかを確認し、進み方に問題がある場合は、適当なアクションを設定して障害を取り除きます。

ここではミーティングに参加する「関係者」がキーになります。会社における地位は全く関係なく、各ファンクションの代表であり、その方がアクションオーナーになったら、各ファンクションはその代表の方に協力してそれを潰さないといけません。各ファンクションごとに人を集めるミーティングで、「とりあえず聞いといて」的に代表者をアサインし、その代表者に落とされたアクションを潰すことに協力しないという構図がよく見られますが、それでは解決まで辿り着きません。ですから、ファンクションによっては部長が参加し、ファンクションによっては現場スタッフが参加しますが、ミーティングの場では地位は同じで、スタッフが部長に対してアクションを設定するということも普通にあります。

偉そうに振る舞う管理職も、本当に優秀な管理職も、現場スタッフも、ミーティングの場では皆ファンクションの代表であって、チームで問題解決を図る。様々なバックグラウンドの方が集まる外資系企業ならではの景色かもしれませんが、私は、このミーティングスタイルが好きです。

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