遥かなる未踏峰 / ジェフリー・アーチャー

ジェフリー・アーチャーという英国人作家の作品は、ほぼすべて読んでいます。彼自身の半生が小説になってもおかしくないほど数奇なもので、オックスフォードを卒業し、26歳で国会議員に選出され、極めて順調にエリート街道を進んでいたかと思えば、投資に失敗して財産を失い、小説をあてて借金を返済し、爵位を授与され、国会議員に復帰し、偽証罪で投獄され、その間も小説は書き続け、云々。ミステリーやウィットの利いた長編、短編を書いている作家ですが、この作品は、実在した冒険家の半生を描いた異色のものです。

ジョージ・マロリーという登山家は、エベレスト人類初登頂に挑んだ無数の登山家の一人です。彼は、人類初登頂という栄誉を成し遂げたかもしれない。頂上には到達しなかったのかもしれない。最近(1999年)になって、エベレスト山頂付近で彼の遺体が発見されてなお、それは答えが出されていない謎として扱われています。ジョージ・マロニーという人が、世界最高峰初登頂を巡る国際競争の、大英帝国の覇権誇示を背負った挑戦者として相応しい人格と、過酷な状況で個性の強い屈強な仲間達をまとめあげて目的達成に導くリーダーシップとを備えた立派な男だったで、彼が初登頂を成し遂げたことを信じたいという周囲の気持ちが、謎を謎のまま放置しているのかもしれません。

読んだら、涙が出ます。エネルギーが湧いてきます。

ブログを更新したときや、趣味やビジネスに関する興味深い記事を見つけたときにTweetしています!