2018年度のNHK杯将棋トーナメントでベスト4が出揃った。羽生さん、丸山さん、森内さん、郷田さん。なんと、みんな50歳近いおっさん。NHK杯という全国的に注目度の高いガチンコ勝負の場で、しかも、頭の回転速度が落ちてきているベテランには必ずしも有利とはいえない棋戦で、羽生世代の4人が残っている。とっても嬉しい。
羽生さんが無冠になったことが象徴する通り、将棋界では世代交代の波が押し寄せて久しい。渡辺さん、広瀬さん、豊島さんは絶好調。藤井聡太くんは朝日杯を連破。そのほか、佐藤(天)さん、菅井さん、山崎さん、中村さん、永瀬さん、高見さん、千田さん、三枚堂さん、勇気くんといった若手の活躍は言うまでもありません。そんな中で、OB戦かと見間違えるようなこの顔ぶれです。
AIが現役棋士を破るなど、決められたルールのもとで純粋に勝ちを追及する手順は、コンピュータにかなわなくなってきた。だからといって、将棋が面白くなくなったなんて感じない。人間が戦う勝負事にはドラマがあり、そのドラマが見る人に何かを与えてくれる。羽生さんが無冠になったその年に、羽生さんを含む4人のおっさんが、勢いのある若手を次々と退けてNHK杯を勝ち上がり、準決勝、決勝を戦う。世代交代を否定する羽生世代の主張。とっても面白い。