財務省の介入、日銀による異次元緩和の修正、8/5の日経平均の4,451円28銭(12.8%)の下落から、8月の為替市場は160円台から140円台半ばへと大きく円高ドル安に振れました。為替市場の混乱と時期を同じくして発表された予想を下回る米国経済指標が米国株価の下落を助長しました。その後、8月末には米国株は完全に戻り、日本株もほぼ下落前に戻りました。しかし、為替は140円台半ばに水準が変わってしまいました。日本株と米国株に投資している私は、相場の動き以上にいつの間にか損した気分で8月を終えています。
そもそも、円金利があがると為替はどう変化するのか、長らく公式めいたものを探しています。円キャリー取引の巻き戻しでドルが売られ円が買われ円高になるとかいうコメントを見ます。円金利が高いと円預金が集まりそうなので円高になるという意見は、間違いではないように聞こえます。
為替と金利には先物市場があって、例えば3ヶ月先の金利や為替レートが市場で取引されているので、3ヶ月先の価格を今、取引して確定させることができます。3ヶ月先受け渡しのドル150円、円金利1%、ドル金利3% などというように。当然ながら、これらをすべて今、取引確定させると、なんの損得も生まれません。円キャリー(ドル預金)や円預金に資金が動くとすれば、何らかの利益を求めているので、金利を確定させることなく、金利が上がるか下がるか見通しをもって通貨間で資金を動かしているといえます。ドル金利が将来下がり、円金利が上がると予想すればドルから円に資金を移すでしょうから、円高ドル安が進むという説明になるわけです。
将来の金利変動を予測しながら資金が動くという説明が通るなら、将来の株価変動を予測して資金が動くという説明も同じ説得力を持ちます。また、貿易などによる決済実需によって資金が動くという説明も然りです。視野を広げると、資金が動く要因を一言で表すのは不可能に近い。というわけで、結局先物市場が存在してトレードしやすい、足の短い資金の変動による説明が幅を利かせることになります。
冒頭の問いに戻りますと、日米金利差の動向が為替レートに与える影響は、確かにありますし、為替変動の説明にもそうした見方がよく出てくることは事実です。昨今のように、金利差縮小が予測される状況では、円高ドル安という傾向を肯定する向きは多いでしょう。ただ、株式市場とか貿易(内需)とかまで視野に入れると、日本の内需が回復しているとはいえ、米国の個人消費の強さにはかなわず、米国株と日本株の差はまだまだ開くだろうと思えば、やはり基調は円からドルに資金が動く円安ドル高なのかなと思います。知らんけど。