米中貿易摩擦は、貿易戦争でも纏めた通り、米国の対中貿易赤字が膨大だから是正しろという単純な話ではありません。
ところが、未だに貿易収支を互いの損益とみなし、赤字は損失、黒字は利益という見方をしている向きが少なくありません。貿易収支は単なるお金の流れであって、損益とは全く関係がない。企業の経理で置き換えれば、米国企業の買掛金と中国企業の売掛金とのバランスが貿易収支に該当し、その大きさと関係なく、米国企業は儲かっているかもしれないし、中国企業は損しているかもしれない。
試験問題で、経常収支(ここでは貿易収支とみなす)と貯蓄投資バランスとの関係が問われていました。両者は等しい。経常赤字の場合、投資超過です。貯蓄超過だと経常黒字になっています。両者に因果関係がある訳ではなく、両者が等しくなるよう定義されているからにすぎません。
米国の貿易赤字は、単純に米国が貯蓄せずにお金を使っている状況の裏返しです。貯蓄大好きな日本は貿易黒字の傾向があります。