英国の決断

Difficulties of a capitalistic society are the case that a full employment can’t be achieved and unequalness of share-out.

John M. Keynes, UK

英国は国民投票で欧州連合から離脱するという選択を示しました。英国民にしてみれば、いろんな人が自国に入ってきて、本来英国民が担うべき職を奪っているという状況を看過できないのでしょう。あるいは、単に大国のプライドがこの決断の源かもしれません。

そもそも資本主義には欠陥があって、英国の偉大な経済学者ケインズは、資本主義のもとで完全雇用なんて達成されないことを見抜いていました。彼の示した「流動性の罠」とか「価格の下方硬直性」などは、半世紀を優に過ぎた今でも新鮮な概念です。ただ、資本主義の欠陥は修正すべきものであって、そのものを否定すべきではありません。資本主義が相対的にいって人々の生活を豊かにしてきた事実は誰もが認めているのですから。

雇用が十分ではないという英国民の不満が、資本主義の欠陥によるものなら、政策により修正しなければなりません。英国が自国通貨ポンドを維持して金融政策のハンドルを欧州に渡すことなく握り続けた理由のひとつは、こういうときのために、軌道修正のための政策の自由度を確保するためでしょう。

ところが、欧州連合からの離脱は、資本の動きが大きく制限され、資本主義の根幹が揺らぎかねません。英国では、ポピュリズムの弊害を抑えるために二院制という政治システムが敷かれているのだから、資本主義の根幹を損なわないような舵取りをせめて期待したい。

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