業界関係者でない限り、歯科業界の主要プレーヤーと聞かれて名前があがる日本企業は思い浮かばないと思います。歯科業界でグローバル企業として認識されているのは、栃木県を拠点に歯科用ハンドピースを手掛けているナカニシ(東証7716)くらいではないでしょうか。歯科医の詳細なニーズに真摯に対応する徹底した差別化戦略のもとで高利益率を維持ししています。
世界に目を向けると業界の印象が異なります。ナカニシの時価総額は2,000億円程度ですが、欧米には時価総額が1兆円を超える企業が複数あり、最大のAlign Technologiesは4兆円を超えています。それら企業は、マウスピース矯正やインプラント、3Dプリンター、口腔内スキャナーなど、技術革新によって新製品・サービスを開発し、世界の潜在需要を開拓しています。
市場規模の違い、市場構造の違いが、日本企業を育てていないと捉えるべきか、日本企業が欧米の需要を取り込めていないと捉えるべきか、悩ましいところではありますが、歯科業界は魅力ある成長市場であるということは言えます。