キャッシュレス社会

お正月に初詣に行きましたが、久しぶりに、お札と小銭を使ったような気がします。近い将来、屋台で2次元コードをスマホで読み込んで決済するようになるかもしれませんし、お賽銭やおみくじも、スマホ決済になるかもしれません。

ところが、そういう状況になったとしても、キャッシュレスサービスを提供する会社が儲かるかどうかは不透明ですし、そもそも、そのような将来が来るかも不透明です。

まず、交通系カードなど、競合技術が既に普及しています。交通系カードでの決済には、お店側に決済端末の導入が不可欠で、その投資が普及のボトルネックになります。しかし、コンビニを含む多くの店舗で既に決済端末が導入されているので、2次元コード決済の利用に一方的に傾くシナリオは考えられません。

次に、キャッシュレスサービス会社に集まる決済資金について、運用益が期待できないこと。利用者は決済資金に金利を求めませんから、キャッシュレスサービス会社は調達コストゼロで資金を集めることができます。ところが昨今の金利環境では、運用益が全く期待できません。ちなみにキャッシュレスサービスが最も普及している中国の金利は6%です。

そして、キャッシュレスサービス会社が銀行ではないことから、万が一倒産した場合、決済資金を預けている利用者の救済措置がなく、そのことが経営を不安定にします。一度でも、信用不安が生じれば、容易に他の決済手段に資金が流れ、事業存続は困難になります。

経済対策の一環で、多額の政府補助が流れ込んでいる分野ですが、政府はむしろ、市場を歪めることなく、冷静に、健全な競争を促すべきだと強く感じます。紙幣を発行する中央銀行に代わるほどの信用力を、民間のキャッシュレスサービス会社が得ることはないのだから、政府補助が終わるところで信用不安が必ず出てきます。キャッシュレスサービスの宴は早晩落ち着くでしょうから、3年後でもなお、お札と小銭をもって初詣に行くのかな。

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