Uber Eats Economics

イノベーター理論で市場浸透度合いを表す以下のカーブが有名ですが、多くのIT製品やサービスについて私自身、ずっとLate Majorityでした。しかし、ITへの信頼が増しているのか年齢的に先が少なくなった焦りからくるのか、最近では少なくともEarly Adoptorに位置していると感じます。Uber EatsはサービスとしてEarly Majority段階に入ったと思います。Early AdoptorとEarly Majorityとの間には死の谷とよばれる深い溝があり、ここを乗り超えられるかどうかが、サービス定着の肝になるといわれていますが、Uber Eatsはそこを超えてMajorityを取りに行くサービスになってきているのではないかと思います。

Uber Eatsは伝統的な出前とは異なって、市場に潜在的にいるドライバーを掘り起こすサービスです。そういう意味では物流業界にイノベーションを起こしつつあります。Uberから見ると、ドライバーさんを動かすコストが採算を決めます。そこには、3つの要素(実際にはもっと)があります。ドライバーさんの時給、待ち時間、配送時間です。ドライバーさんの時給は地域や時間帯、天候によって異なります。雨の夕方などはインセンティブを払わないと集まらないのではないかと推測します。待ち時間は、オーダーの頻度により決まります。売れている店、または、Uber利用店舗が密集している地域では待ち時間は小さくなります。そして、配送時間は、注文者とお店との距離、渋滞状況などによって決まります。重要なのは、ドライバーさんがいないと注文が受け付けられず、一定の数のドライバーさんが掘り起こされている地域では、お客様もお店も、ドライバーさんも潤うという状況が起こります。

ドライバーになるのに必要なのは運転免許くらいで、自転車とか小型バイクですぐに始められます。引退した方々や不規則な時間帯で働いている方々が空き時間で小遣い稼ぎをするなど、Uber EatsがMajorityに浸透するにつれてドライバーさんはこれからどんどん出てくると思います。表札の読み方さえアプリで解決できれば外国人ドライバーさんがもっと増えると思います。

お店側から見ると、Uberの配送料に合わせて小売価格を変更することで、売上最適化を図ることができます。ドライバーさんがたくさんいらっしゃる状況で、小売価格を上げるとか、むしろ小売価格を下げて量を捌くとか、大雨の日は小売価格を下げるとか、お客様が最終的にお支払いする価格を想定しながら、店舗の売上をコントロールできます。また、Uber Eats商圏を絞ることも大事です。お店から10分圏と20分圏では配送コストが大きく違って、10分圏内のみチラシをまいて認知を高めることによって、リピーターを増やすことが可能化もしれません。また、このサービスモデルがお客様の密度に大きくかかわっていることを考えると、地域で連携してUber Eatsを使うことも、結果として、ドライバーさんを増やすことになって、自店舗の売上に貢献することになります。突き詰めると、店舗をもたなくても飲食業が成り立つ状況になり、実際、店舗をもたないゴーストレストランとかがたくさん出てきています。

Uber Eats Economicsでは、飲食業成功の軸にドライバーさんの有効活用という軸が加わりました。そのことにまだ気づいていない方が多く、早めの対策を中小企業支援に織り込んでいきます。

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