Inflation targeting is a framework for monetary policy characterized by the public announcement of official quantitative targets for the inflation rate, and by explicit acknowledgement that low, stable inflation is monetary policy’s primary long-run goal.
Inflation Targeting by Ben S. Bernanke et al. in 1999
日銀が2017年目処で2パーセントの物価上昇率目標を掲げています。Inflation targetingと呼ばれる中央銀行の新たな枠組みは、1990年のニュージーランド中央銀行での採用を皮切りに、今では多くの国の中央銀行が採用しています。決して、物価上昇率のコミットメントではなく、あくまで、中央銀行が実施している金融政策の考え方を説明するための拠り所として位置づけられ、その意味において、ポジティブな評価が固まってきています。
昨今の報道によれば、物価上昇率がなかなか上向かないのは、日銀が2パーセントのコミットメントを果たせていないという、日銀の政策ミスであるとの立ち位置からの論調が多い。多くの国のInflation targetingはコミットメントではないから、この論調に大きな違和感を感じます。
日銀を擁護するわけではありませんが、この目標に対する政府の政策が何とも心許ない。物価が2パーセント上がることが国民の利益に資するなら、政府がその目標達成のための直接的な施策をもっと出してよい。例えば、公務員給与を2パーセント上げる。政府が貸している不動産の賃貸料を2パーセント上げる。政府が提供している公共サービスの価格を2パーセント上げる。政府が購入しているサービスも2パーセント上げる。政府が関与するすべての取引で2パーセントという数字を尊重した価格改定を行えば、物価に相当大きな影響が出る。その結果、物価上昇率が2パーセントになるかどうかは、むしろ、日銀の舵取り次第といえましょう。
労働人口に占める公務員の割合は10%以下なので、2%の給与引き上げインパクトは高々1兆円程度で大した金額ではありません。大事なのは、2パーセントが実取引に組み込まれることです。米国の不動産リース契約にはインフレ条項があたり前のように入っていて、貸す方も借りる方も物価上昇があるという前提で契約を纏めます。
景気を良くすることは政府の役割として期待されることであって、日銀は物価の安定を通じてそれをサポートすることしかできないのです。