140兆円の年金原資を運用している政府系機関GPIFが2014年度に5兆円の損失を出したとの報道がありました。2015年度はおそらくもっと損失を積み上げていると思われるし、最近はもっとひどい状況かもしれません。
不勉強なので間違っている可能性はありますが、資産が時価評価されていて、時価の増減をもって損益を測っていると考えられます。
時価評価は評価時点の価値を示していて、その価値は資産を売り切らない限り実現しません。GPIFのような資金運用を託されている機関は、資金の運用先を常に考えなければならず、ある銘柄の株式を売ってもまた別の銘柄の株式を買わなければなりません。売ってもまた買うので、結局は、売っていない状況と同じになります。トレーディング(頻繁な売買で鞘抜き狙う運用)目的で資産を保有しているなら時価評価は大いに意味がありますが、そうでない限り、時価評価というのは張りぼてでしかないのです。
現役世代から預かっている年金資産はむやみに取り崩されることなく、その運用益がシニア世代への年金支払いに充当されることが望ましい。そういう観点から、時価評価の増減よりも、株式が、年金支払いをカバーできるだけの十分な現金配当を生んでいるかが最も重要な関心事です。したがって、報道にあるように時価評価の運用損失を問うより、同じ論調で運用先企業に高配当を求める方が、よほど意味のある行動だと感じます。いかがでしょうか?