消費者物価指数とGDPデフレータの違い

ラスパイレス方式とパーシェ方式という2つの指数計算方法の相違を理解しようとしていたら、消費者物価指数とGDPデフレータの違いという、とても興味深いトピックに行きつきました。というのも、最近では消費者物価指数がプラスで、GDPデフレータがマイナスという、だいたい同じものだと理解していた両者がゼロをはさんで違いが際立つ状況にあって、違和感を感じていたからです。2018年の消費者物価指数はプラス0.9%、GDPデフレータはマイナス0.1%でした。

消費者物価指数もGDPデフレータも、経済学的に意味するところは同じで、時間の経過に伴うモノの価値と価格との関係性を数値化するものです。ただ、計算方法が違います。消費者物価指数は、基準年のモノの組み合わせウェイトを固定して計算する(ラスパイレス方式)のに対して、GDPデフレータは組み合わせウェイトを変更します(パーシェ方式)。PCなど、価格下落が著しい便利なモノが含まれると、ウェイトを変更しない消費者物価指数は、価格下落インパクトを過少評価して実際より高く計算されてしまいます。一方で、価格下落が寄与した以上の数量増を織り込みがちなGDPデフレータは、PC価格下落のインパクトを強めに弾きます。

実際、2018年の差違は1%程度ですが、2000年代前半には3%もの乖離があったようです。

ややこしい違いを維持せず、計算方法を統一すればいいのにと思いますが、調査対象品目のカバレッジが違うこと、データ収集の難易度など、そして世界主要各国が同様の異なる計算方法を用いていることから、話は単純ではありません。そういうものだとして、理解するほかないようです。

ちなみに、英Economist誌は、ラスパイレス方式で定期的に各国の物価比較を行っています。Big Mac Indexと呼ばれ、各国の1 Big Macの価格を調査し、為替レートを掛けて通貨単位を揃え、各国の物価の相対的な動きをレポートしています。為替レートが適正だとすれば、日本の物価は相対的に安く、その状態が長らく続いています。残念ながら、物価を押し上げるほどの経済力が、昨今の日本にはないということです。

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