ソフトバンクが発行する個人向け社債の募集広告を見て驚きました。そもそも、この金利条件をきちんと理解できる個人、もっと言えば、これをきちんと説明できる証券会社の営業マンは世の中にどれだけいるのでしょう?おそらく、金融市場での取引に精通した一部の専門家でないと理解できない。
- 当初5年間の仮条件は2.90~3.10%(中央値3%)
- 5年目以降~20年目まで:6ヶ月ユーロ円LIBOR(ライボー)+円の5年スワップ・ミッド・レートへの上乗せ幅+0.10%
- 20年目以降~満期まで:6ヶ月ユーロ円LIBOR(ライボー)+円の5年スワップ・ミッド・レートへの上乗せ幅+0.30%
まず、ユーロ円ってユーロなのか円なのかややこしい。ライボーとかスワップなんて日常生活で聞いたことがない。手前5年が3%ということだけ理解できる。顧客に理解してもらおうという姿勢が全く見えず、むしろ手前の3%だけで釣ろうという魂胆しか見えません。
5年目以降の金利条件をわかりやすくいえば、年2回の利払ごとに、そのときの円短期金利を適用しますということです。スワップ云々の上乗せ幅は、無視できるほど小さいです。最後の0.1%とか0.3%は償還条件や劣後条件を反映した上乗せです。ここで劣後条件とは、ソフトバンクがもし資金繰りに行き詰まった場合、普通社債に比して後順位での償還となるということで、株式に近い性格を有しているということです。25年目まで償還されず、途中で換金しようにも社債自体が上場していないために換金が容易ではなく、ソフトバンクの状況次第では利払いが遅れる可能性を織り込んでいるという条件の対価が、0.1%とか0.3%で表されているといわれれば、それが十分か不十分かを判断しやすいでしょう。5年目以降のうまみがないとしても、その分、手前で高い利息を得られますということが売りなんでしょうが。
一番の論点は、孫さんがこの先25年もCEOをやらないということ。リスクを取りたければ途中で換金可能な株式の方がよほどいいと言えます。